薬局で「週1回のビスホスホネート製剤を、昨日と今日、2日続けて飲んでしまいました」と相談された。どうしたらよいか?
まず、服用した薬と量、現在の症状を確認する 週1回のビスホスホネート製剤を誤って2日続けて服用してしまっても、1回の重複服用で重い中毒を起こす可能性は高くないと考えられる。 ただし、「大丈夫」とだけ伝えるのではなく、食道や胃の症状がないか、正しい方法で服用できていたかを確認することが大切である。
Q.薬局で「週1回のビスホスホネート製剤を、昨日と今日、2日続けて飲んでしまいました」と相談された。どうしたらよいか?
A.まず、服用した薬と量、現在の症状を確認する
週1回のビスホスホネート製剤を誤って2日続けて服用してしまっても、1回の重複服用で重い中毒を起こす可能性は高くないと考えられる。
ただし、「大丈夫」とだけ伝えるのではなく、食道や胃の症状がないか、正しい方法で服用できていたかを確認することが大切である。
まず確認すること
- 製剤名・規格
- 1回に飲んだ錠数
- 服用した日時
- 2日間以外にも重複して服用していないか
例えばアレンドロン酸35 mgを昨日と今日に1錠ずつ服用した場合は、
35 mg + 35 mg = 合計70 mg
を服用したことになる。
特に確認したいのは、
- 強い胸やけ
- 飲み込みにくい
- 飲み込むと痛い
- 胸が痛い
- 強い胃痛・上腹部痛
- 悪心・嘔吐
などである。
経口ビスホスホネート製剤では、過量服用による全身への影響だけでなく、食道や胃への刺激にも注意する。
特に、嚥下時痛、嚥下困難、胸痛、強い胸やけがある場合は、食道炎や食道潰瘍の可能性を考え、医療機関への相談・受診を検討する。
2回とも、
- 起床時などの空腹時に服用したか
- 十分量の水で服用したか
- 服用後30分以上横にならなかったか
を確認する。
服用直後に横になった、水が少なかったなどの場合は、食道障害により注意する。
どのくらい危険なの?
アレンドロン酸については、海外で70 mg週1回が治療用量として使用されている。
また、アレンドロン酸を35 mg × 週2回投与した臨床試験でも、70 mg週1回や10 mg毎日投与と比べて、安全性に大きな違いは認められていない。
そのため、
35 mgを1回余分に服用して、1週間の合計が70 mgになった
というだけで、重大な急性中毒を強く心配する必要はないと考えられる。
ただし、この試験は「35 mgを2日連続で服用した場合」を調べたものではないため、2日連続服用の安全性が直接確認されているわけではない。
同じビスホスホネート製剤のリセドロン酸では、75 mgを2日連続で投与する方法が臨床試験で検討されており、毎日投与と比べて安全性に大きな違いは認められていない。
これも参考になるが、薬剤・用量が異なるため補助的な根拠として考える。
過量服用では何に注意する?
アレンドロン酸の電子添文では、過量投与によって、
低カルシウム血症、低リン酸血症、胃不調、胸やけ、食道炎、胃炎、潰瘍
などが起こる可能性が示されている。
そのため、重複服用後は特に食道・胃の症状を確認する。
また、服用後に気づいても、自己判断で吐かせない。
なお、電子添文の「過量投与」の項では、処置として牛乳(ミルク)や制酸剤を投与してアレンドロン酸と結合させること、食道への刺激の危険があるため嘔吐を誘発せず、患者を立たせるか上体を起こして座らせることが示されている(実際の処置は医療機関の判断に従う)。
次回はいつ飲めばよい?
ここは少し注意が必要である。
「2回目を飲んだ日から必ず7日空ける」という決まりは確認できない。
週1回のアレンドロン酸やリセドロン酸では、飲み忘れた場合、
気づいた後に1回服用↓その後は、もともと決めていた曜日に戻す
という方法が国内外の製品情報で示されている。
例えば、毎週月曜日に服用している患者が、
月曜日|予定どおり服用
火曜日|間違えてもう1錠服用
した場合、
「火曜日に飲んだから、次回も火曜日に変更する」必要があるとはいえない。
飲み忘れ時の対応を参考にすると、問題がなければ翌週から元の服用曜日(月曜日)に戻すという考え方ができる。
ただし、これは「2日連続で誤って服用した場合」を直接調べたデータに基づくものではない。
そのため、症状がある場合、何回も重複している場合、腎機能低下や低カルシウム血症のリスクがある場合などは、次回の服用日も含めて処方医に確認する。
薬局での対応
「2日続けて飲んだ」
↓
薬剤名・規格・錠数・服用日時を確認
↓
胸やけ・嚥下痛・胸痛・胃痛などを確認
↓
服用方法を確認
↓
症状あり/複数回の誤服用/高リスク
→ 処方医・医療機関へ相談
症状なし・1回だけの重複服用
→ 重い急性中毒の可能性は高くないと考えられる
→ 経過をみながら、次回の服用日を確認する
薬剤師として押さえておきたいポイント
「2錠飲んだから危険」と量だけで判断せず、食道・胃の症状と服用方法を確認する。
また、
「2回目から必ず7日空ける」と決めつける必要はない。
週1回製剤では、飲み忘れた場合でも、その後は元の服用曜日に戻すことが基本となっている。
ただし、2日連続の誤服用後について直接示した指針ではないため、患者の状態に応じて処方医への確認を行う。
参考文献
- Schnitzer T, et al. Therapeutic equivalence of alendronate 70 mg once-weekly and alendronate 35 mg twice-weekly dosing in the treatment of osteoporosis. Aging (Milano). 2000;12(1):1-12. PMID: 10746426.
- Delmas PD, et al. Monthly dosing of 75 mg risedronate on 2 consecutive days a month: efficacy and safety results. Osteoporos Int. 2008;19(7):1039-1045. PMID: 18087660.
- PMDA. アレンドロン酸ナトリウム水和物35 mg製剤 電子添文.
- de Groen PC, et al. Esophagitis associated with the use of alendronate. N Engl J Med. 1996;335:1016-1021.